Proof of X
KUMALEON
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.r🜨tation

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written by .conatus

22 Jun 2023365 EDITIONS
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日本語訳

"proof of X ≒ 23.4" まず最初に、この作品の制作を通して、私がどのようにこのパラメータを発見したかを説明させてください。

この作品は、白黒の等高線図のようなノイズを集めたものから始まりました。この単純なノイズからはまだXを発見していませんでした。私は図を構成している粒子を線に変え、その線をノイズに基づいて回転させてみました。今思うとこの”rotation”がすべての始まりでした。そこに流れ場ができました。しかし、単調な流れ場からXを見つけることついて、まだ思いついてすらいませんでした。次に、ノイズに沿って色を付けてみました。青と緑の流れ場は水と植物を、赤と黄色の流れ場は紅葉した木々を私に連想させました。また、白は雪景色を連想させ、茶色は枯れた枝を私に連想させました。そこにはいくつかの風景が生まれました。しかし、色のついた流れ場からは、まだ納得のいくXは見つかりませんでした。頭の中で直感的に並べ替えることで、季節の移り変わりを連想するようになりました。ノイズの中に秩序を見出すことで、私は最初のパラメーター「周期」を見つけました。季節の移り変わりです。このパラメーターに基づいて、私はXを探索することにしました。周期を四季の4から一年の12に変更しました。すると年周期で繰り返されるものを見つけました。それは地球の公転でした。地球は公転と、自転をしています。しかし、季節のサイクルを作るには何かが足りません。足りないものとは地軸の存在でした。それは、地上に調和と美しいノイズを生み出します。"X≒23.4:地軸"、これが私がこの作品を通して発見した 私なりの"X "です。

この一連の連想ゲームを通して私が言いたいことは、次のようなことです。

この作品を構成するコードにはたくさんの数式が使われています。しかし、最初の単純な白黒のノイズから「X」を導き出すために使った主なツールは、感性と類推の力、そして創造性でした。ランダムさやノイズによる揺らぎから芸術的な価値を発見できることは、人間に与えられた貴重な才能だと思っています。それは、リンゴの落下から重力を発見するように、人間を進歩させ、豊かにする根源的な力だと思っています。

そして、試行錯誤を繰り返し、予期せぬ結果から新たな気づきや創造性を得ることができるのも、ジェネラティブアートの可能性のひとつだと信じています。今回、私は最初から自然を再現しようとしたわけではありませんでした。このプロジェクトは、Xを見つけるためのコードとの対話の結果なのです。

説明文について

私には、ジェネラティブアートの作品作りをする上での方針が2種類あります。

ひとつは初めから構想を練ってそれを再現していくためにコードを組み立てていき、その中で変えると面白いパラメータを見つけてランダム性を追加していく方法です。

もう一方は、とにかく手を動かしながらコードを書き進め、関数のリストなどを眺めながら、使うと面白そうなものをとにかく入れ込んでみて、面白い結果が生まれればさらにその先を考え、変な結果になればその前に戻る、まさにトライアンドエラー方式の方法です。こちらの方法は、表現の幅を広げるための勉強の意味合いも強い方法で、途中まで書いたものは残しておき、制作の元ネタとしてもストックされていきます。

今回、Proof of X - Blockchain as a New Medium for Art へ参加させていただけることが決定した時、コードを書くことを通して、私なりの”X”を突き止めてみようと考えました。そうなると、方法としては後者の方法一択でしかなく、元ネタとして、キャンバスに広がる至極簡単なノイズから始まって、春夏秋冬の4色をイメージした段階で残しておいたコードを選択しました。その色は完成した作品のパラメータで言うと、1月、3月、7月、11月の4つの数値でした。(なので、正確にX探しを始めたのはここからです。説明文では少々盛ってしまってました…笑)

そこからの妄想の流れは、嘘偽りなく説明文の通りです。私は四季のヒントだけでは地球の公転まで連想するには至らず、paramsの幅を広げるためにも12ヶ月になるまでコードを書き足したところで1年周期の地球の公転に気がつき、さらに、地軸による傾きがあるからこそ四季の変化が生まれることに気がついたわけです。

しかし、ここで考えたのは、人によっては私より早く、四季の移り変わりから公転と地軸にまで辿り着く人もいるだろうし、連想力や想像力に優れた人なら、白黒のノイズの色の変化から何かを見出せる人もいると思います。あるいは中世の天動説の時代やそれ以前、知識としてのバックグラウンドがなくても四季から地軸にまで辿り着いてしまうような人もいたのかもしれません。

今回、私にとってコードという存在は、私の思考を手伝ってくれ、私の妄想を広げてくれる、よき「相談相手」のようでした。説明文の最後に「対話」という言葉を使ったのはこういった理由です。

この話を聞いてAIについて何か言いたいのかなと察した方もいるかもしれませんが、私はこのような視点からAIアートとジェネラティブアートの違いとは何か、AIと人間の創造性の違いについて現在進行形で考えているところです。(説明文の最後に「この説明文の妄想はAIによって考えられました」と冗談で入れる案もあったのですが、入れなくて良かったと思っています…笑)

裏話

今回、”Proof of X ≒ 23.4”として、Xを求めることを主題にさせていただきました。この行為はPoWのnonceを使ってhash求めるマイニング作業を少し意識していて、それを人間の頭脳というCPUを使った連想作業で求めていることの他に、PoSのテゾスの枠内でそれを表現していることや、=ではなく≒で実際にはちゃんと求めていないことにもちょっとした遊び心を入れています。

featuresの一つにXがありますが、この値は、hashを元に計算されるfxrand()関数と、ミンターのウォレットアドレスによって生成されるfxrandminter()関数を、私がこの作品の制作を通して設定した23.4に足したり引いたりして≒を演出しているだけで、難しい計算ではなく、一回で求まり、一瞬で計算が終わることもちょっとした遊び心です。

本来”hashを求めるためのnonce”である部分が、”featuresとして使い捨てのランダムな値Xを求めるためのhash”にお互いが入れ替わっていることもちょっとした遊びです。このXの値には、「入力データから一定の計算により求められた規則性の持たない固定の長さの値としてのhash」の意味合いがあり、このXの値そのものからhashを復元することはおそらくできません。それを実現しているのはミンターの皆さんのアドレスによるものです。

  $fx.features({
    'X':23.4+0.01*$fx.rand()-0.01*$fx.randminter(),
  })

タイトルについてですが、rotationにはコード内での回転処理、季節の循環、地球の自転としての意味を込めています。”o”の文字を”🜨”にしていますが、この🜨は惑星記号で地球を表します。前回の作品”.L◿◸ps”の”◿◸”部分を個人的にとても気に入っていて、似たような形で今回のタイトルにも記号をねじ込めないか、記号一覧を見て捻り出しました。

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paramsの設定についてですが、ミントしてくださる皆さんの想像力を駆り立てるような設定にしたいと思い、方向性としての季節・色はこちらで設定させていただき、流れ場のみで、いかに色々なものに見せるかということを考えた結果、とてもシンプルなままで仕上げることになりました。それぞれの月の色は、パレットではなくHSBによる重ね合わせのみで表現しています。雨のような円環の色は”.cloths (Gift-Wrapping Color)”の02.Earthのパレットを使用しています。

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Grainはもともと変更するつもりはなかったのですが、試しに極端に上げてみたら面白い結果が出るようになり、調節できる形で実装しました。自分の想像を超える結果が生まれることもジェネラティブアートの醍醐味だと思っています。そして今回、皆さんのparam操作により、私の予想を超えたユニークな作品をたくさん見れることを心より嬉しく思っています。

seedとしてミンターアドレスによる見たままの結果が出る機能を採用した件について少し説明します。私は、hash生成によるジェネラティブNFTはガチャポン・カプセルトイ、あるいはソシャゲのガチャなどに一部似ている面があると考えています。何が出てくるのかを楽しむ側面もあれば、「思っていたのと違う結果が出てきた」という現象も多々起こり得ます。その言葉の後に、「嬉しい」と続くこともあれば、反対に、「残念」と続く場合もあり、その残念の確率を減らす努力をすることがジェネラティブアーティストの努力義務だと個人的には思っています。確率の操作ができる神のような創造力がアーティストには与えられますが、ブロックチェーンの永続性が責任として重くのしかかります。paramsはその「残念」の確率をミンターの皆さんと協力して大幅に減らせる強力なツールですが、hashの不確定さがミンターの期待を裏切るものになり得ます。今回はミンターが決めたparam値そのままの出力をベースにして、hashを選ぶかどうかも選択可能にしました。このparamsとhashの問題は、ジェネラティブアートとAIアートの生成体験の境界線に関わる結構大事な問題だと個人的には考えていて、今回の展示は、自分の中でparamsの場合はどうすれば良いか一度結論を出す必要のある、良い機会となりました。

”sync”機能は描写中に色を変えられることによりparamsを選ぶ時間の短縮につながるかと思い採用したつもりでしたが、色を部分的に変えてミントできるかと勘違いさせてしまう原因となってしまいました。結果、ミント前に残念と思う確率として機能してしまったことに対しまして、この場で恐縮ですがお詫び申し上げます。ライブで試した結果がミントできなかった皆様、申し訳ございませんでした。

この予想外に長くなった文章を拙い英語力で英訳するか迷ったのですが、fx(text)に習得難易度の高い言語である日本語で暗号化された文章があるということは、ある意味面白くあり、また、会場に来ていただいた方が暗号鍵の日本語読解力を有している確率は限りなく高そうですが、このブロックチェーンに刻まれた文章はfx(hash)に興味を持ちfx(text)まで探しにこなければたどり着けないように少しだけ隠されているということも面白く、翻訳サイトを使った場合=ではなく≒になる部分もこの作品っぽいのであえて日本語だけにしておきます。この文章が、作品やコードを見た皆さんが連想した内容と少しでも違った連想になっていましたのなら幸いです。

謝辞

最後になりますが、この作品を公開するにあたり、多大な協力を得た、Proof of Xに関わった皆様、そして、KUMALEON・fx(hash)チームの皆様に厚く御礼申し上げます。また、会場でパラメータを触って体感してくれた皆様、mintしてくれた皆様に心よりの感謝を申し上げます。

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